体験記 K・I様 60代 男性 その2

 担当の医師との面談になった時、大変申し訳ないような仕草がみえたので、こちらの方から「先生、ガンですか?」と聞いたところ「残念ながらその通りです」との答え。
ついに恐れていた病魔にとりつかれたのです。
 その宣告※③から数秒は筆舌に尽くし難いものでしたが、医師から「治療はどちらでお受けになられますか?」「自分の所属している大学病院でもよいですし、希望の病院があれば紹介状をお書きします」と言われました。とにかく早い方が良いとの事で、激励を含んだ言葉で指導され力強く感じてセンターを後にしました。






※③:悪性疾患の告知については非常に難しく、また意見の分かれるところであると思われます。
以前の日本では家族のみに告知し、例えば胃癌であれば本人には胃潰瘍と説明し、癌であることを知らされずに亡くなられる方も多くおられました。
 しかしながら現代においては、治療の進化や、予後、余命が明らかになってからの時間、人生をできる限り有意義に使おうという考え方、個人情報の問題などの影響により、本人に告知しないことは稀なケースとなってきました。
 とは言っても告知するという行為は、される側が辛いのはもちろんの事、する側も非常に辛く難しいことなのです。
 特に当八王子健康管理センターは、人間ドックと健康診断が中心で、一人の患者様にお会いするのは、ほとんどが1年に1回。その方がどのような方なのか、過去の健診結果ではわからない、生活の背景や性格などについては全く情報がありません。もし、心配性な方だったら悲観してしまわないだろうか、仕事が忙しいからと治療を先延ばしにされないだろうか、医学的根拠の無い民間療法等で治そうとされないだろうか、と不安は尽きません。しかし、一番大事な事は、癌であるという現実を受け入れて治療に専念して頂き、次回の健診・人間ドックを元気に受けて頂くという事であると考え、事実を包み隠さずお伝えするように心がけています。
 癌という事実は非常にショックなことであり、到底すぐには受け入れ難いですが、もし健診・人間ドックを受けずに過ごし、数年後に体調不良で病院を受診して初めて癌が見つかったと仮定するならば、今より遥かに進行した状態の可能性が高かったでしょう。そう考えれば「不幸中の幸い」と前向きに考えられるのではないでしょうか。